まず、西川のりおを早送りしたかのようなイントロのリフにやや面食らう。 その攻撃的なリズムと、なだらかなメロディとが絡み合う様は、喩えるなら、ターボエンジンを搭載した西川のりおがスピーディーに「ツッタカター、ツッタカター……」と言っている横で、蝶の羽のようなものを身に付けた熊川哲也が満足気にニコニコ宙を舞う、夢の競演。 バッキングのギターはその音自体を聴くとメタル然としているが、相対的に音圧を抑えたことにより、冷製パスタにかけられた梅ドレッシングのような、爽やかささえ感じさせる。若干HELLOWEENの「I'M ALIVE」や「MARCH OF TIME」の影響下にあるようにも思えるそのポジティヴなメロディも、男がヒラヒラのスカートを履いたときの刺激にも似た爽快感を与えてくれる。 また間奏に関しては、攻撃的な速いソロ → ノリノリホーンセクション → 攻撃的な速いリフ、と展開が淀みない。喩えるなら、どうしても好きになれない奴がいて相当いがみ合っていたところちょっとしたきっかけで話してみたらこれが結構いい奴だったのでとっても仲良くなったけれどもすぐに「やっぱり嫌な奴だった」と悟り結局は殴り合った、みたいな感じとでもいえばいいか。いや、よくない。 ただ、多くの人が言及されているように、終わり方が不思議だ。黄緑のシャツと真っ赤なズボンでコーディネイトしたメシマコブみたいな感じだ。 どうでもいいことだけど、MDなどで編集するときは、この曲の後にBLIND GUARDIANの「IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE」を入れると、雰囲気が出ていい感じになりますよ。
BAADの記念すべき1stアルバム。某アニメで有名な①「君が好きだと叫びたい」から始まり、ロックンロールな②「DO YOU WANNA HOLD ME?」、大田紳一郎の真髄を見せつけられるリフがカッコいい名曲③「MISTY LOVE」、爽やかなメロディと切ない歌詞が絡み合う名曲④「JUST TAKE MY HEART」、某有名曲のメインリフをモチーフにした(してないか)⑤「WILD THING」、どこかで聴いたイントロリフを絶妙に消化し名曲にまで昇華させた⑥「傷付いても止まらないでいたい」、リフが極めてHR的な2ndシングル⑦「愛したい愛せない」、穏やかな情景が目に浮かびエンディングが秀逸な⑧「街は優しく色付いてく」、爽快なHRの名曲⑨「I WILL NEVER SAY GOOD-BYE」と続き、最後は1stシングル「どんな時でもHold Me Tight」で大団円を迎えます。 HRの美学満載、聴きドコロ満載の素晴らしいアルバムですので、みんな聴いてね。
別に変拍子や難解な歌詞を使わなくてもプログレッシヴな曲は作れます。この曲がまさにその見本。これを進歩的といわずして何を進歩的と言うのか。音世界のグラデーションが荒々しくも規則正しく配列を成している。 確かにHELLOWEENの「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」の狂おしい展開のコントラストには僅かに及ばないが、それでもこのバンドはこの曲と「ABYSS OF THE VOID」及び「FAIRYTALE」を使って、確固たる自らの世界観を表明している。 平安時代の壮大な絵巻物を眺めているような、イチゴが溢れるショートケーキを目の前にしたような、そんな緊張感と安堵感の共生を強制する名曲であり、盟極である。
「Make The ピポー~」ですでにノックアウト。小人が背中に泥を投げつけてきたり、第五の鍵を無知の海に投げ入れたり、「鍵を投げろー」とか、・・・これは言ってみればガングロ娘が優しい母親になって子供たち乳を上げているといったような、これは一種の紀行文。俺はこの曲を聴いたとたんHELLOWEENに入りそうになった。 辞退したけどね。
俺はhobitzさん( 2003年5月18日(日)15時4分発言)や真上のsasugaさんに強く同意します。何回聴いてもしっくりこない。これじゃ駄目なのじゃないかな。①や②はアレンジとか含めてそこそこいいけど、アルバム全体的になんか中途半端な印象が拭えないのはどうしてだろうか。…と考えたら、やはりヴァイキーの曲が弱いからかな。マーカスの曲も(昔に比べたら)弱いような気がするし。表現しにくいが、このアルバムは全編にわたって、なんか「曲を曲らしく形作る」とか「体裁を整える」と言った印象を受けました。とにかく「THE TUNE」で寒イボは立ちません(どこかしらGamma Rayのシングルの2曲目みたいな感じがする)。俺は「Kings Will Be Kings」とか「Midnight Sun」「Salvation」でこそ寒イボが立ちます。マイケル・ヴァイカートは、こと作曲に関しては中島みゆきとかバッハと肩を並べる才能の持主だと思うし(言い過ぎか)、ヴァイキー及びHELLOWEENはこんなもんじゃない、と思う。「The Time Of The Oath」や「Better Than Raw」に戻れとは言わないけど、これじゃいかんだろと思う。サシャは確かにうまいし曲作りもうまいかも知れないが、俺が聴きたいのはHELLOWEEN独特の切ないながらも勇壮なメロディです。ローランド作の「The Dark Ride」タイトル曲みたいな。 あぁ、HELLOWEEN、っていうかヴァイキー、もいちど俺を急性腸炎にするような曲を作ってくで~、ってな気分です。・・・次のアルバムに期待します。 このまま駄目にならないで欲しい。HELLOWEENよ、君達は、つぶやきでなくマギーになる運命なのだから。ついでにジャイアンツよ。メイクドラマでセリーグを盛り上げろ。 うぅ、もう寝たほうがいいかも知んない。おやすみなさい。